プロジェクトマネージャーの役割とは、そして必要なスキルとは?
今回は、プロジェクトマネージャーの役割と、実際にプロジェクトマネジメントしていくうえで必要なスキルを紹介します。
自分の経験で感じているスキル、一般的に必要と考えられているスキルの2つの側面から説明します。
あまり他では述べられていない、現場で感じたPM論になります。
違うと思う人もいるかもしれませんが、PMとして飛躍するヒントになるかもしれないと思って、書いてみました。
プロジェクトマネージャに必要なスキル
プロジェクトマネージャに本当に必要なスキル
教科書的なスキルは、後半でお伝えすることにして、長年プロマネをやってきて、かつ数多くの優れたPMを見てきて思うのは、結局そのプロジェクトをやりきるだけの人間力でしかない、ということです。
ITの抜群の技術力があっても、PMBOKを隅から隅まで知っていてPMPの資格をもっていても、コミュニケーションスキルがものすごく高くても、それだけではプロジェクトは回っていきません。
プロジェクトを成功させるという思い、みんなでやるんだという強い気持ちが、精神論になりますが、最後はプロジェクトを最後までもっていく底力になるのだと思います。
だからこそ、今までも折に触れて伝えてきましたが、プロジェクトマネージャーには様々なタイプがいるのだと思います。
全ての能力を兼ね備えた人は、残念ながらいないので、人はぞれぞれの一番得意な領域で勝負することになってくるんだと思われます。
例えば、オリンピック競技、柔道あたりを見ると、大抵はその人がもつ決め技があって、それで勝負していると思います。
背負い投げなら背負い投げ、内またなら内またと、金メダルを争うような勝負の時の決め技は、その人の得意な技になっています。
もちろん、柔道でオリンピック代表になるような人は、その他の技だって普通には使いこなせるはずだし、その普通が一般レベルをはるかに凌駕しているかも知れません。
それでも、得意技がある選手が、やはり世界一に輝いている気がします。
プロジェクトマネージャーも、自分なりの得意技を持つことで、偉大なPMになれます。
自分は、技術力が誰よりもすぐれているのか、コミュニケーション力では引けをとらないのか、積極性とまわりを巻き込む力ではだれにもまけないのか、自分を知ってマネジメントすることです。
実際のいろいろなタイプのプロマネがいることは、以前の記事にも書きましたので、ご参考まで。
関連記事>(プロマネは個性を磨け【実在する大規模プロジェクトのマネージャー像】)
プロマネは現場監督
ITだ、システム開発だというとプロジェクトマネージャーも机仕事だホワイトカラーだと思われがちですが、実際には何かをつくるときの現場監督に近いものだと考えています。
あっちが遅れたから、さぁどうするんだとか。
人が倒れたから、気配りしつつも他の人に頭を下げてお願いするとか。
周りの顔を気にしながら、半日現場をまわって、雑談しているとか(実は状況把握だったりします)
数字で見える化とかやっている反面、そんな仕事で日が暮れていくことがよくあります。
一日中、仕事もしないで(そう見えることもある)、雑談しているだけなのに、なぜかプロジェクトの状況を誰よりも知っている。
コミュニケーション力の一つかもしれませんが、雑談力はPMのスキルかもしれないです。
前半はこのくらいにして、後半は、一般的な役割とスキルの話をします。
プロジェクトマネジメントのための一般的なスキル
プロジェクトマネージャの役割
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトにかかわるメンバーと、プロジェクトで発生する各種問題を解決しプロジェクトを成功に導く必要があります。
そのときに必要なのが周囲とのコミュニケーションです。
あるシステム開発プロジェクトで、あなたが、中堅クラスシステム開発会社のリーダーとします。
大規模プロジェクトのため、全体の統括は、大手のSIベンダーがしきっているという前提にしてみます。
その場合でも、あなたの会社で受けた範囲は、ひとつのプロジェクトになります。
あなたは、あなたの会社の責任者であり、会社としてはプロジェクトのPMとして対応し、プロジェクト内では、会社の代表、請け負ったチームのリーダーという立場になります。
そのプロジェクトマネージャーおよびリーダーの役割をこなすためには、下記のようなメンバーと調整しながらプロジェクトを進めていく必要があります。
・SI(システムインテグレーション)統括:大手開発ベンダー
・お客様:システム部署
・お客様:利用部署
・社内上司:社内管理職、役員等
・チームメンバー:社内開発メンバー
・チームメンバー:BP(ビジネスパートナー)開発メンバー、開発委託先
その調整を行うにあたって、プロジェクトマネジメントの各種スキルを身に着けておく必要があります。
プロジェクトマネジメントのスキルとは
自分はこの業界には、プログラミングからはいり、SEとして仕様検討、設計、製作、テストという一連の業務を数年間こなした後に、プロジェクトリーダーを経てプロジェクトのマネージャーになりました。
典型的な流れでPMになったともいますが、プロジェクトマネージャーになって最も感じたのは、設計や製作を行うシステムエンジニア(SE)とは、かなり違う仕事だということでした。
その違いがなかなか身につかず、最初のプロジェクトでは利益がなかなか出ずに苦労したし、最初の頃に小さなプロジェクトを回していたころは、マネジメントがうまく機能せず、休日や残業で自分で開発をカバーしてプロジェクトを立ち上げたりしていました。
プロジェクトマネージャーは、SEとは異なり、設計開発ができれば良いわけではありません。
「プロジェクトマネジメントは、プロジェクトの制約条件である、納期、品質、コストのバランスを常に考慮してプロジェクトを推進し、成果を達成すること」が仕事になるからです。
そのために必要となるスキルも、分類すると3つあります。
・一般的なマネジメントスキル
・マネジメントプロセスのスキル
・システム開発に関するスキル(知識)
一般的なマネジメントスキルとは、コミュニケーション、ネゴシーエーしょんなどの人と仕事をするためのスキル、組織管理、問題解決、人材育成などのスキル、マーケティングや契約などの知識など、幅広い知識が必要となります。
それに加えて、プロジェクトマネジメントに必要なプロジェクト計画や、コントロールなどの知識も必要となるし、システム開発であれば、その専門分野に関しての、プロセスや業務知識、技術面での知識も必要となります。
実際プロジェクトマネージャーは、お客様への報告などでシステム開発面での説明を求められることも常々あるため、幅広い専門知識に裏付けられたプレゼンテーション能力がもとめられることになります。
教科書的には、このような多種多様な能力が求められます、ということですが、全てのプロジェクトマネージャーがそこまですべてを知っているかというと、そんなのは難しすぎるし、そんなこともありません。
一通りはしっかり学んで、3億、10億の規模になってきたら、人間力を高めて、得意分野を磨く必要があります。
自分はこれは誰にも負けない、というものを持っているならば、偉大なPMになれるかもしれませんね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回は、多分に精神論的な部分もありましたが、実際の大規模プロジェクトを実行できるようなPMは、技術も必要ですが、それ以上に人間力だと思えてなりません。