ところでプロジェクトとは?
今回は初心にもどって、プロジェクトの定義についてです。
プロジェクトというと大上段にかまえてしまいがちですが、実はわたしたちのまわりにはプロジェクトであふれています。
プロジェクトリーダー・マネージャーというと、すごいことをやっていると思うかもしれませんが、ほとんどの人がプロジェクトのリーダー、マネージャーを経験してきています。
今回は、身の回りにあるプロジェクトから、プロジェクトマネージャーさらには人生で大切なことを見つけ出してみようという企画です。
プロジェクトの定義と大切なこと
プロジェクトで本当に大切なことは?
「プロジェクトが何を目標に置いているか、それを一丸となって目指しているプロジェクトは成功する」
これがなぜかというのは、本文をお読みいただけるとありがたいです。
プロジェクトとは
最初にプロジェクトの定義を振りかえります。
プロジェクトの標準といえば、「PMBOK]ですが、そこにはこう書いてあります。
プロジェクトの定義
プロジェクトとは、独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期性のある業務。
プロジェクト定義のポイントは、次の3つです。
- 独自のアウトプット:独自のプロダクトやサービスを生み出している
- 有期性:「開始」と「終了」が決まっている
- 限られた資源:利用可能な、人的資源・物的資源・費用に制約がある
ある限られた時間で目標に向かって物事をすすめているものは、この定義によれば、プロジェクトというわけです。
そう考えると、世の中にプロジェクトはあふれていることがわかると思います。
「定義された目標を決められた期間内に達成する」いかにもプロジェクトの例をあげてみます。
◇システム開発の例
概要:営業スタッフが現場から状況をスマホ・モバイルから報告するシステム
目的:営業スタッフの帰社時間をなくし業務を効率化
納期:6か月
費用:3千万円(30人月)、設備費2千万円
◇システム導入の例
概要:工場に生産計画のパッケージを導入
目的:従来人手で立案していた生産計画をシステム化し、データに基づいた効率的な計画の立案の実現
納期:2か月
費用:380万円(4人月)
◇建築の例
概要:地方工場を東北に建設
目的:東北地方の生産増加が見込まれ工場を拡大するため
納期:8カ月
費用:5億円
ここまでは、システム開発・導入、建設といかにもプロジェクトという例でした。
それでは、先ほどの定義に照らし合わせると、身近にはどんなプロジェクトがあるでしょうか?
◇家族旅行
概要:夏休みに家族を旅行につれていってあげる
目的:家族の親睦
時期:夏休み期間中
予算:20万円
◇歓迎会、親睦会等
概要:新入社員が2人はいったので歓迎会の開催
目的:新入社員の歓迎、先輩社員との親睦
時期:2週間後
費用:5000円×50名の会社補助で実施
誰かが何かの幹事、とりまとめ役をやって何かをすすめるものって結構あると思いますが、全てプロジェクトと考えていいと思います。
新人歓迎会プロジェクト
新人歓迎会プロジェクトの推進
さて、新人歓迎会をやろうとすると何をしますか?
参加者を確認
歓迎会で実施内容を決める(目玉は新人の芸とビンゴに決定)
歓迎会の段取りを決める(あいさつ、ビンゴ等のタイミング、順番)
お店を調べる(インターネットで検索、知っている人に聞く)
お店と調整する(人数や、個室か等の確認、必要に応じて下見)
お店を決定する
ビンゴの景品を調べる
景品も含め費用を決定(会社と補助金額調整)
ビンゴの景品を決定
ビンゴ景品の買い出し
参加者にお店の案内メールを出す
あいさつや締めのメンバーに依頼
新人に芸をするように依頼
必要に応じ補助してくれる人に依頼
参加者変更(欠席、増員)があればお店と調整
当日参加者へのフォロー
当日司会
お店への支払い
忘れものなどのお店退出時の確認
必要に応じて翌日に前日の報告メール
書いていて自分でも驚きましたが、新人歓迎会だけでもやることが結構あります。
ここで洗い出したものが、プロジェクトでいうタスクです。
タスクを見てもらうとわかるように、ステークフォルダー(お店の人、会社の親睦会調整役、新入社員など)との調整もあるし、景品調達もあります。
景品が大量にあるなら、手伝いを事前に頼んでおく必要があるし、段取りも決めないといけないです。
プロジェクト計画、調整、タスクの実行、参加者変更などの課題が発生したときはその解決、誰かに景品買い出しを頼んだならばその進捗確認等、ひととおり要素はそろっています。
ここまで書いて過去数えきれないほどの新人歓迎会、忘年会等に参加してますが、うまくまわっていたとき、いまいちだったときと様々でした。
よくよく思い返すと、成功する宴会は幹事が優秀で仕事もできるケースが多かった気がします。
もっとも、宴会には興味がない人、宴会だけは情熱を傾ける人というのもいるので、一概には言えませんが(笑)
そこから何かを学ぼうという姿勢さえあれば、宴会幹事でもプロジェクトマネジメントのトレーニングには十分なります。
プロジェクトで大切なこと
ところで、プロジェクトの定義は、3つでした。
「独自アウトプット」「有期間」「限定資源」。
新人歓迎会は、期間は決められてるし、費用やメンバーはきまっているので、2つは問題ないけど、「独自アウトプット」って?
「親睦会を実施する」「新人と他の社員の親睦が深まること」「旧社員が新人の顔と名前を覚えること」
どれもアウトプットです。親睦が深まるなどの目に見えないことでも、アウトプットはアウトプットです。
もちろん、きちんと評価しようと思えば、アンケートをとれば評価可能ですが。
プロジェクトの評価は成果の達成で決まります。
「親睦会をやる」を目標にすれば、実施有無が評価で、開催できればマルです。
「親睦が深まる」を目標にするなら、深まるの程度を決めるのは難しいですが、評価もかわってきます。
名前を覚えるでもしかり。
プロジェクトは何を目標にするかで、表面上やったことは一緒であっても、達成される結果は大きくちがってきます。
実は、プロジェクトが失敗する原因の中でもっとも多いのが、この「目標」がプロジェクトメンバー間で共有できていない、ことなのです。
上流工程、要件検討が、という言い方をされていることもありますが、本来のところは目標の共有ができていて、みんなが同じ方向にむいてプロジェクトを進めているかになります。
プロジェクトリーダー、マネージャーは、目標をしっかり定め、メンバーと一丸となって目標達成に向かうことを心にとめておくと、いいと思います。
新人歓迎会でも、目標をどこにおくかで、結果がかわってくる気がしますよね。
人生はプロジェクト
わたしたちの身近なもので、もうひとつ大きな、でもすべてのひとにとって最大のプロジェクトは、それぞれの「人生」だと思います。
期限とリソースはきまってますよね。
成果物、目標は何?
目標の置き方によって、プロジェクトが達成できることがかわってきます。
人生を一大プロジェクトと捉え、目標を設定してみれば、達成できることは変わってくるのだと思います。
今回はここまでにします。
最後までお読みいただきありがとうございました。