トヨタの問題解決といったら、これが代名詞になってます「なぜなぜ5回」。
確かに在職していたときは、普通に「なぜなぜ5回」と聞きました。
口ぐせのように、みんなが、なぜって質問します。
今回は、そのなぜなぜ分析を、事例でやってみましたので、ご覧ください。
問題解決(なぜなぜ分析)の事例
なぜなぜ分析をしてみた結果を図にしてみました。
なぜなぜ分析のイメージ図について
書き方としては、シンプルに、問題→なぜ→なぜ・・・という具合に落とし込んでいきます。
他にも問題解決、コンサルタントの7つ道具みたいなので紹介される、魚の骨のような特定要因図(というか、フィッシュボーンチャートってイメージ通りの名前だ)を使うこともありますが、普通に、事前に見つけた問題を、なぜなぜって落としていくことが多いです。
では、この図と、なぜなぜ分析の考え方について説明していきます。
次のようなストーリーを考えました。
【今回のなぜなぜ分析をやった事例のストーリー】
X社は、新たに工場設備を増設しようとしていました。その会社はいままで利用していた設備よりもワンランク上の設備にするため、その商品を取り扱っているそれまで付き合いのなかった3社に対して、コンペを実施することにしたのです。
オファーがあったA社では、営業部トップの優秀なイケイケ君をそのコンペの担当にアサインします。
「おまえなら余裕だろうけど、この案件頼むぞ」
部長としては、X社のものは規模的には小さな案件だったのでトップ人材をアサインするのは気乗りはしませんでした。
それでも社長から、これからは新規顧客獲得に力をいれていきたいので営業部頼むぞといわれたから、仕方なしの指示です。
1週間後にコンペがありました。
「どうだった?」
「まぁ、いつも通りです。商品としては負けてないし、プレゼンは完璧だったと思うから、大丈夫でしょう!」
イケイケ君は自信満々のようでしたが、プレゼンの3日後、
「他社に決まりました、ご説明へ来ていただきありがとうございました」
という断りの連絡がはいりました。
部長は、イケイケを担当にしたのにどうして受注できなかったか不思議でなりません。
本人からはプレゼンは上手くいったという報告もあがってきていました。
反省会ということで、イケイケ君を呼び出して再確認します。
「受注できなかった原因って想像がつくか?」
「いやわからないですね。そういえば、技術的にこまごまとした質問をなげてくるやつがいて、ちょっと答えられないことはあったけど、別に商品スペックには差もないし、他の役員や社長からは、まずまずの反応がもらえたと思いましたけどね」
部長は、イケイケ君との会話だけでは問題が把握できなかったため、お客様に受注できなかった理由をききにいくことにしました。
お客様は、話し方は上手だったし別に他社製品とカタログ上に差は無いのですけどね、と前置きしてこう語ってくれました。
・熱意があまり感じられなかった
・商品の説明だけで、企業自体の説明もなければ、商品への取組み説明もなく、将来性が不明
・技術的側面でも判断したかったが、結局カタログの内容の説明に始終した(X社はわざわざ技術者を同席させている)
ということで、今回、現状把握はヒアリングをしたこの3点を課題で捉えることにして、この問題を分析していきます。
なぜなぜ分析(分析実施)
今回の受注失敗にかかわる状況をまとめます。
・3社合同コンペ、3社とも初の会社で新規開拓
・プレゼンテーションは流暢
・商品はカタログスペックでは3社遜色ない(価格的にも横並び)
・社長から部長へは新規受注促進の指示がでていた
・売上が少ない案件ではあるが、社長方針もありトップのイケイケ君をアサイン
・顧客ヒアリングでは、下記3点が指摘された
(1)熱意があまり感じられなかった
(2)技術的側面でも判断したかったが、QAが回答不足(X社は技術者同席)
(3)商品の説明だけで、企業自体の説明がなく発注に不安
ここから洗い出される問題は3つです。
1)説明への熱意不足
2)技術的QAへの回答が不満
3)企業(X社)の説明がない
ここから、なぜなぜの分析をしますが、分析しないで対策をうつと例えば次のようになります。
1)熱意不足
(イケイケが熱意もって説明しなかったのが問題のようだな・・・)
「イケイケ君、お客様が熱意が足りなかったと言ってたぞ、次はもう少し熱く語るようにしような」
「はい、わかりました。すみませんでした」
(部長が、あんな小規模案件を俺にやらせるから、やる気がおきなかっただけだ。いいかげんにしろよな)
熱意不足→熱意もってやるように、というのでは、上記のようになる可能性があります。
なぜなぜで分析してみます。
分析は一つの例ですが、なぜなぜを繰り返して真因が導き出されています
真因A)売上だけの評価になっている
真因B)経営方針が現場まで展開されていない
これがわかれば対策も変わります。
真因A→新規獲得数の貼り出し(公開)、成績に考慮(マネージャー層で意識統一)
真因B→部品への経営方針展開
「実は今期は会社として新規案件獲得に力をいれるに力をいれることになったため、君をアサインしたんだ。
会社の方針をきちんと展開できていなかったのは、反省したので月例会で展開することにした。
売上以外にも、新規案件獲得数を貼り出して評価もしていくし、部として頑張りたいと思う。
次回からも新規案件の担当を頼みたいので頑張って欲しい」
この分析のポイントは、部長がやっているということです。
自分事としてとらえて、部長としての真因まで落として対策をうつことが問題を解決するポイントになります。
イケイケ君がこの真因にしてしますと、部長が仕事しないからこうなるんだ、で終わってしまいますので、イケイケ君としての分析・対策であれば、プレゼンスキルをさらに伸ばすとか自分でできる対策に落とすことが肝要です。
2)技術的QA回答不満
これもなぜなぜを実施し、例として3つの真因をだしました。
真因C)商品説明の場、利用する場がない
真因D)顧客の希望を確認するように指導していない
真因E)営業部門・技術部門の連携がない
当初の問題のままだと、「イケイケ技術面が弱いから、勉強しておけ!」で終わりますが、真因を落とし込むことでこれも対策がかわります。
C,E)→営業部門と技術部門の連携を強めて、商品の説明会をつくる
D)→プレゼン前に顧客とちゃんとコミュニケーションして希望をきくように指導する
イケイケ君が同様の分析をしたとしたらどうでしょう。
今回の場合は、真因がおなじでも対策を技術部門に商品の説明してくれるようにお願いする(個人でできない場合は部長経由)
とかにすれば、自分事で対応できます。
対策は必ずしも自分や自分のチームだけでやる必要はありません。上位を巻き込んで改善していくというのが大切になります。
3)企業(X社)の説明がない
例として分析してみました。
真因F)担当数が多く営業の時間が取れない
真因G)新規開拓時検討の場がない
繰り返しになりますが、やはり「企業説明をやっとけ!」で終わってはそこまでになります。
F)→1人あたりの担当数を平準化する仕組みをつくる
G)→新規開拓検討会を設置し、ノウハウ集をまとめる
などなど、改善はその場限りでおわらせず、継続的に実施すること、組織力が向上することが重要です。
そのためにも、なぜなぜ分析をしっかりして、真因をつきつめてみてはいかがでしょうか?
今回は、ここまでにします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。