今回は僕の失敗体験も踏まえて、プロジェクトマネジメントのコツを書いてます。
プロジェクトマネジメント失敗の原因と対策
プロジェクトマネジメント失敗は、現地現物での確認をしていないことが最大の原因となることがあります。
日々のプロジェクト管理の中、進捗報告で「問題ありません、進捗遅れはありません、課題もありません」という報告を受けていたとしても、実際の成果物を見た瞬間に、品質が悪かったり、できていると聞いていたものができていなかったりすることがあります。
進捗報告している人が故意に虚偽の報告をすることももちろんありますが、単に気づいていないということの方が多いです。
期待している品質にギャップが発生しているわけです。
特に開発プロジェクトの場合、成果物を定義してあとは一括で他の会社にお願いすることもあります。持ち帰りの業務で委託した場合、離れた場所でのリモート開発になることもよくあります。そんなときでも、実際の成果物(現物)、システムであったら動き出したら動くもので確認することが、プロジェクト管理、マネジメントの失敗をさけるためには必要です。
プロジェクトマネジメントの失敗談
日々の進捗管理をしっかりやっていれば、大丈夫か?
僕が若いころプロジェクト管理をしていたプロジェクトでこんなことがありました。
15人月、15百万程度のプロジェクトでした。僕が働いていた会社としてはそれほど大きなプロジェクトではなかったので、若手に任せたということで、はじめてのプロマネ。一緒に仕事をした相手もはじめてで、僕が東京で相手が大阪にある会社でした。
進捗は毎週レポートがメールで届き、月に一度は東京まできてもらい面着での報告をうけていました。
スケジュールには計画通りを示す真っすぐの線が引いてあり、問題ないという報告があがってました。
テストの実施件数も報告があり、動き出したというので、動いた結果を見たいというと、月次報告でもってきてくれました。
画面のハードコピーの紙と帳票を印刷したもの。
実際に画面も仕様書通りだし、帳票も印刷したものができているということで安心して、迎えた納品の一週間前。
頑張ってやっていただいたし、ねぎらいの言葉をと思い手土産をもって大阪出張にいきました。
「画面みせていただけますか?」
「はい、これです」
動いている動いている!
「帳票も印刷してもらってもいいですか?」
「すみません、まだできていないんです・・・」
できてたハズでは、後の祭りでした。
先日印刷したものだと言って見せてもらったはずなのに理由をたずねると、あれはマイクロソフトワードで作成して印刷したものだという。成果物とお願いしたのにと言うと、イメージを確認いただくつもりでしたとの答え。
画面も実際に僕がさわると、入力データを変更するとおかしな動きをします。
イメージは実際に仕様書で事前に確認していたので、明らかに故意ですが、責めても仕方がないので、日帰りの予定がその日から一週間泊まり込み、睡眠時間を削って、委託先の会社の方々にも頑張ってもらい納期に間に合わせることになりました。
現地現物での確認の大切さ(現地現物主義)
進捗管理のやり方にも問題はあったのですが、やはり実際に現場で現物を確認することがいかに大切かを痛感しました。
よく「現地現物」といわれます。トヨタでは徹底した現地現物主義をとっています。
現地現物とは、「実際に現地に足を運び、現物をみて触れることで、事実に即して物事を客観的にみようという姿勢」です。
机上で考えるだけではなく、実際の物に触れ、顧客と接することで問題点を洗い出し、効率的に業務を進めることです。
現実におきる問題解決のためには、起きていることと実際の問題点を徹底して確認する必要があります。
先の失敗はトヨタに転職する前ですが、その後20年以上トヨタで働いていましたが、在職中は品質不良やトラブルが発生した場合、すぐにその現場に出向き、その現場で問題の分析、対応を行っていました。
実際の問題が起きた現場でなければ、現場のことは分からないからです。
教科書から得た知識だけでは現場との距離は縮まらない。「現地現物」で行動することは大切です。
実際、経験を積むことでプロジェクトマネジメントスキルが向上したこともあるのかもしれませんが、現地現物主義をとってからは同様の失敗はなくなりました。
プロジェクトの成功と成長のために
任せて任さず
プロジェクトマネージャは、プロジェクトの推進に対してすべての責任を負っていると思います。
やりきるためには何が大切なのでしょうか。
松下幸之助さんの言葉に、「任せて任さず」というものがあります。いろいろな捉え方はがあると思いますが、僕は「ただ任せてあとは知らない」というのではなく、任せた後も見守って、その人が自分の力で成功するまでしっかりとフォローを続けることが、本当の意味での「任せて任さず」になると考えています。
人をどこまで信頼するか
先の例の場合は、はじめて一緒に仕事をする関係ということで相互に信頼関係が築けていなかったのもあるのは原因です。
僕の過去の上司に、
信用とは、過去に対して評価
信頼とは未来の行動への期待
と教えられました。
確かに信用調査というのは聞きますが、信頼調査ではないですね。信頼は相手に対してこちらがするものです。
最後までやりきって成果を出すことで信用関係は築くものです。先ほどの例は、僕の長いエンジニア生活の中でもまずないレベルで酷いものでしたが、そんなことが発生しないようにプロジェクトマネジメントをしていくことが大切だと考えています。
プロジェクト管理は人がやるもの、相手を信頼せず管理だけを厳しくしたところで人の成長にはつながらないのではないでしょうか。
もし、自分が部下だったら、自分を信頼してくれない相手について行こうと思いますか?
思わないのではないでしょうか。
相手と一緒に成果を出そうと考えたら、相手が実現してくれる未来を信じて、将来に期待する。
新しいこと、未知なことに向かっていくのに実績も、保証も、根拠もなくて、ただその相手をを信じるだけです。
結局は人です
プロジェクト管理のコツはと聞かれたとき、僕は、「人が好きなことです!」と答えています。
僕が知っている数十億のプロジェクトをまわすような偉大なプロジェクトマネージャの方々は、みな人が大好きで尊敬できる人たちです。人を信頼しながら、責任をもってフォローしていくことが、プロジェクトマネージャとしてやるべきことだと思っています。
まとめ
今回のまとめです。
現地現物
プロジェクトマネジメントは、現地現物での確認をしていく
任せて任せず
お互いの成長のためにも信頼は大切、できると信じながらもきちんとフォローしていく
プロジェクトで困った時
これまでの自分の経験をもとに、プロジェクトのコンサル、ご支援、プロジェクトマネージャの育成などを実施しております。
もしプロジェクトでお困りの時はご相談ください。下記にリンクも貼っておきます。