今回は、プロジェクトの最初に行う重要なタスクであるプロジェクト計画書について書きます。
システム開発プロジェクトの内容になります。
僕は数百万から数億規模までの数多くのシステム開発のプロジェクトのマネージャーを経験してきたのですが、プロジェクト計画書は本当に大切だという気持ちがあって記事にすることにしました。プロジェクト計画書をしっかりと書くと、プロジェクトの成功率は格段に上がります。そして、これを読んでいただけば、プロジェクト計画書に記載するおおまかな内容を理解してもらえると思います。
プロジェクト計画書に書く内容
プロジェクト計画書には次の内容を記載します。
・プロジェクトの説明
・費用見積り
・スケジュール
・要員計画と体制図
・品質基準や開発等の標準
・コミュニケーション計画
・リスク一覧
・育成計画
プロジェクトの説明
プロジェクトの狙いを明らかにするとともに、プロジェクトのスコープ(範囲)をしっかりと定義します。
プロジェクトの特徴によっては、システム全体の構成図も用意しておくとシステムの特徴や全体像が把握しやすくなります。
費用見積り
スコープにあわせて見積りを実施します。見積もりの前提は大切なので確実に書いておきます。
見積り方法はいくつもありますが、根拠をしっかりと書いておくことで、プロジェクトの完了時に計画通りにプロジェクトと推進できたかの結果を評価することが可能になります。
スケジュール
プロジェクトの納期を確認し、大日程(月単位)契約範囲の中日程(週単位)や小日程(WBS:日単位)を立案して計画書に含めます。小日程計画まで立案できれば理想ですが、プロジェクトの規模と状況によってどこまで記載するかは変わってきます。
要員計画と体制図
コスト、スケジュールにあわせていつ何人必要かという要員計画を立案します。あわせて、プロジェクトの構成メンバーの役割がわかるように体制図をつくり、それぞれの役割を明確にしておきます。
品質・標準
プロジェクトの各工程別に品質の合格基準および、プロジェクトとしての守るべき標準を定義しておきます。
大規模プロジェクトの場合は標準がないと品質にバラつきがでてしまうので、しっかり作りこむことが必要になります。ただ、標準をつくりこむのは時間も工数もかかるので、他のプロジェクトの前例などをカスタマイズすることで効率化することを検討しておきます。
コミュニケーション計画
いわゆる会議体の定義です。
ステークフォルダを確認し各ステークフォルダ(顧客、プロジェクト内・外等)との会議を計画しておきます。
リスク計画
プロジェクトのリスクとなる内容を洗い出しリスクに対して、対策を立案、リスク軽減策を計画しておきます。
育成計画
育成対象者を定義して育成計画を立案.育成の方針や目標はその対象者と共有しておくことが重要です。
プロジェクト完了時には育成対象者が目標通りに成長したかを評価することで、みんなの成長につながります。
プロジェクト計画書に書く内容の優先度
ここまで読んで、「プロジェクトを進めるのに忙しい中こんなに作れないよ」という声が聞こえてきそうです。
実は先ほど述べた計画書で作る内容にも優先度があります。プロジェクト計画書を書くにはコスト(時間と人手)がかかります。
プロジェクトの規模や状況にあわせて、プロジェクト計画書をどこまで作成するかを判断するのもプロジェクトマネージャの仕事になります。
実際、計画書には必須のものとそうでない(オプション)のものがあると思っています。
僕が今までのシステム開発のプロジェクトで必ず書いていたのは、下記のものです。
・プロジェクトの説明(スコープ定義)
・費用見積り
・スケジュール
・要員計画と体制図
プロジェクトのスコープとそれに関する費用はビジネスとして実施する以上必須だし、納期を示すスケジュールもやはり絶対ですね。もっとも、スケジュールをどこまで詳細化するかはプロジェクトマネージャが判断すればいいのですが、いままでの経験からも直近1カ月のスケジュールは日別のWBSまで落としておくべきだと考えています。
もちろん、WBSの各タスクの線の長さは1日ではありません。1週間(5日)程度というのが一般的にいわれています。それ以上細かくしてしまうと1日予定がずれるたびにスケジュール修正の手間の方が多くなってしまうからです。
プロジェクトは人でやるから、マネジメントは人をどのように動かすかというのが重要になります。
プロジェクト計画は、プロジェクトマネージャがそれを把握してみんなと一緒に仕事をするスタートになります。
これだけでは、不十分という意見もあるかも知れません。その通りで、そこはプロジェクトマネージャの腕のみせどころです。
プロジェクトのリスクが高い場合はリスク一覧も重要で、リスクをお客様や上司(いわゆるステークフォルダ)で共有しておく必要があります。
プロジェクトはどれだけ先を読むかが勝負になるからです。
納期、品質、コストをしっかりと意識して、必要なプロジェクト計画書を準備する。それは、プロジェクトを成功させるために、是非とも実施してもらえればと思います。
プロジェクトに計画書は必須です
プロジェクト計画書はプロジェクトを進めるには必須です。
はじめてのプロジェクトマネージャをやったときの失敗
かれこれ20年ほど前に僕が一番最初にプロジェクトマネージャをやったときには、プロジェクト計画書をつくるという概念もあまりなく、プロジェクトの納期が近づいたころには休日出勤したり徹夜したりして、なんとか納期までに間に合わせたという苦い経験があります。
プロジェクト計画書で必須のスコープ定義が明確になっておらず、どう考えても必要な範囲の開発を誰もやっていなかったのが原因で、プロジェクト計画書があれば、一目瞭然でわかる内容でした。
また、以前勤めていた会社では、億単位の赤字になるトラブルプロジェクトが続出したことが数年つづいたことがありました。そのときにプロジェクトマネジメントを強化する狙いで、プロジェクト計画書を作成、レビューするプロセスを社内につくるのにかかわりましたが、そのプロセスができてからはトラブルプロジェクトがゼロになりました。
プロジェクト計画書作成だけではなく、レビュープロセスをいれることでプロジェクトマネージャの力量で実施していたのを組織的にできるようにしたことも大きいです。ただし、組織的な対応も計画あってのものですので、プロジェクトマネージャになったら、まずはプロジェクト計画書をつくるということから始めてみてください。
プロジェクトの計画ができた後
プロジェクト計画にしたがってプロジェクトを運営していくことが重要になります。一般的には、プロジェクトコントロールといわれています。日々の進捗管理や課題管理、時にはメンバーの体調管理まで。プロジェクトは人と人とのつながりで成果を目指すものです。みんなでおおきなことを成し遂げれば、達成感も得ることができますよね。
是非、プロジェクト計画書を魂をこめて書いてみてください。
プロジェクトで困った時
これまでの自分の経験をもとに、プロジェクトのコンサル、ご支援、プロジェクトマネージャの育成などを実施しております。
もしプロジェクトでお困りの時はご相談ください。下記にリンクも貼っておきます。