人工知能(AI)は、今の社会的方向性を考えても人間と共存していくだろうと考えています。
それについては以前も書きました。
人工知能(AI)との共存を【AIは人の将来を奪うのか】
今回は、人工知能(AI)とは結局のところ何?
今後はどのようになっていくか、というところを考えてみました。
人工知能(AI)―コンピュータはどこまできたのか
現在のAIは、ここまできている。逆にいうと、ここまでしか到達していません。そこにチャンスはあります。
「機械学習の結果、入力に対して傾向分析・判断ができるようになって、少しだけ人間の頭脳に近づいた。それが今の人工知能(AI)」
人工知能(AI)ブームは以前もあった
僕が子供の頃のコンピュータといえば、日本語だと電子計算機と訳されていて、読んで字のごとく巨大な計算機という認識をされていました。
その後、IT業界に就職すると、コンピュータは単純な計算をする世界から、知識を蓄える―情報を扱うという世界に代わってきました。
数十年前は、インターネットの世界がこれほど身近になかったことを思えば、便利な世の中になったものだと感じます。
計算機から、情報を取り扱う記憶装置。この2つの領域ではコンピュータは完全に人間を凌駕しています。
そして近年、ブームになっているのが、人工知能(AI)ですね。
AIブームも今にはじまったものではなくて、今から20年以上前にもAIブームがきたときがありました。
僕も多少かかわっていたことがありますが、その頃の流行りは知識ベース、「エキスパートシステム」。
いわば、専門領域の知識データベースです。
いわゆる専門家の知識を蓄積して、その知識をたどることで答えを導きだすものです。
「調子悪いところはどこですか?
1.熱がある、2.頭が痛い、3.お腹が痛い、4.背中が痛い、・・・」
「3です」
「お腹を下していますか? 1.はい、2.いいえ」
「1です」
・・・・・
「あなたは、食中毒の可能性があります。胃腸科を受診ください」
まぁ、このレベルではエキスパートでも何でもないですが、これを専門的にどこまでも突き詰めていくものでした。
それでも、蓄積された知識と選択の順番も含めて一致するものがなければ、まるで対応ができないというものでした。
知識・ノウハウの蓄積と、状況の選択分岐という、その時代の技術レベルにとどまっていたため、情報蓄積とその管理の煩雑さから徐々にすたれてブームは去りました。
そして今、記憶装置から次の可能性に世の中が気づいて、実際に実用化がどんどんすすんでいてAIブームが再燃しています。
今回のAIブームの立役者は、「ビッグデータとそれを利用した機械学習」です。
人工知能(AI)の現状
エキスパートシステムと何が変わったか?
「いろいろな状況から判断して、きっとこうだろうという判断ができるようになったことです」
病気診断だとすると、熱、痛み・・・むくみ、黄疸・・・とかとかを判断して、
「その状況だったら、食中毒の可能性 65%、胃腸風の可能性 20%、○○○○の可能性 15%」とかがわかるようになったというものです。
大量な状況データとその結果を学習させておけば、別の状況が発生しても、こんな入力なら、こんな結果になる可能性あるよ、ということができるようになった、というわけですね。
まぁ、これができると何が嬉しいかというと、結構いろいろなことができるようになってくるし、これからもどんどん出来ることが増えると思われます。
例えば、天気予報。
通常、降水量や風向、風速、日照時間、気温などの観測データをデータを元にして気象予報士が天気(雨、風、雪、雷など)を予測していますが、これって上の説明に似ていませんか?
過去のビッグデータを学習すれば、天気予測できてしまいますね。
実際、AI天気予報は、99%あたるとも言われています。
例えば、株価予想。
値上がり、値下がりなどの各種動きに加えて失業率、製造業生産高、鉱工業生産高、機械受注などの経済状況とかがあれば、確かに予測はできるし、実際アプリもいくつも出回っています。
実は、囲碁将棋も同じです。
各種駒と王様との関係から局面をどの手を指せばかつ可能性が高いかを、学習した結果から傾向を予測。
それに加えて、持ち前の計算力による読みを加えて、最も良い手を指しているわけです。
これは、人間でも専門家がやっている方法にかなり近づいたということだと思います。
単純なマニュアル手順で、それにないものについては全く対応できなかったエキスパートシステムの時代から、大量データの学習をベースに、「たぶんこれだなぁ」という予測ができるようになって実用化も進んできた機械学習AIの時代。
それが、今のAIブームを作り出しています。
人工知能(AI)は、どうなっていくのか?
では、人工知能(AI)はどうなっていくのかを考えてみます。
「専門的な予測が必要な分野に対しては、AIが人間のパートナーとしてより力を発揮していく
ただし、これからどうしていくという意思をもって方向性を示すのは、まだまだ先の将来になりそう」
と僕は考えています。理由は2つ。
過去の歴史が語る
1つめは、過去の他のものの歴史もそうだから、と言うものです。
脳の代替ではなく、身体の代替と考えるとロボット(機械)を考えてみます。現実の世の中でも工学的にはロボットが活躍しているところはたくさんあります。
仮にロボットという言い方をしていますが、人間の形はしていないです。
麺をつくる機械。袋詰めする機械。工場で組み立てをするロボットアーム。すべて以前は手作業だったものを、機械が代わりにやってくれているものです。
それぞれの専門に特化して機械が人間の仕事を代替するようになりました。
人工知能(AI)もこのようになっていくと考えられます。
医療分野、天気分野、トレーディング分野。
各種コンサルタント系の業務も代替が出てくるかもしれません。
経営コンサルタント、税理士。
税理士は単にこのケースはこうですというだけのサービスしかしないと厳しいのかもしれませんが、弁護士はまだまだ続くといわれています。
弁護士は、過去の知識も大切ですが、それ以上に人と人とのコミュニケーションで結果を勝ち取っていくというものだからです。
単純な入力に対する出力ではない、ということですね。
そういう意味では、経営コンサルタントにしても、税理士にしても、単純な状況分析からこうしますではなくて、よりお客様によりそって、意思をもった方向性をお客様の立場で提案することができれば、簡単になくなることはないということです。
むしろ、AIを有効に活用してそのうえでコンサルタントができるということは、メリットだと考えます。
AI、機械学習の仕組みから言える
さて、意思をもって方向性を示すのは、AIには困難という2つ目の理由は、AI・機械学習の仕組みからの考えです。
ようするに、大量のデータをもとに、入力→出力、の的確な予測をするのが機械学習なので、ある意味、反応なのです。
インプットに対する反応なのです。
大量の学習データが事前に準備できない場合や、インプットがないときにどうするの?というのは、今のAIでは対応できない範囲になっています。
大量の学習データが事前準備できないケースとは、変化が激しくてデータがすぐに陳腐化するケースですね。
AIまわり、ITまわりなどは現在変化が激しい状況でまさにその世界だと思います。
逆にいうと、産業の発展でロボットがでてきたときには、ロボット(機械)を作るという新たな仕事が発生しましたが、同じようにAIを作る、機械学習をさせるという仕事はどんどん増えてくるはずです。
あわせて、あまりにもローカルな世界。自分の周囲の人達とか一部の環境等については、例え有名人でもプライベートはあるし、AIに答えを期待するのは難しいです。
自分の周囲、会社、友達、家族などがどうすれば喜ぶか、ということは、AIに求めるのは現状は厳しい!
そんなローカルな機械学習は現状ではメリットもないし、させないですからね。あなたとあなたの周囲のことを一番知っているのは、あなたなのです。
「あなたの周りの大切な人を喜ばせることができるのは、あなただけなのです」
それがある限り、AIが人類を駆逐してしまうことは、まだまだないと確信しています。
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