トヨタ 問題解決

とあるカイゼン活動を語る【トヨタの問題解決・カイゼン活動】

今回は、前に在職していたトヨタ系の会社のチームで行うカイゼン活動でトップになった時の話を書きます。
カイゼンや問題解決の説明というよりは、目標をたててそれを達成するまでの物語として読んでいただければと思います。

カイゼン活動開始

トヨタは企業の中に、問題をみつけては、徹底的・継続的に改善していくのが根付いています。
その活動のひとつとして、数人から10人程度までの小チームをつくって、業務改善を行うものがあります

半年から1年をかけて、業務改善のテーマを決めて、改善活動をして、その成果を最後に発表して順位を競うという流れです。
大小含めて100チーム弱くらいで競い合うことになります。

よくあるパターンで、部→事業本部→全社、それぞれの枠で発表会を行い、最終的に全社で優勝を競うというかたちです。

最初に優勝したのは2014年でしたが、その数年前に1度2位になったことがありました。
2位を取った後は、しばらく力もいれてなかったのですが、ちょっとしたきっかけで本気になります。

「カイゼン大会ですが、一度2位をとっているので、今度は優勝したいです」
部下からのその一言で、やる気になりました。

カイゼン活動の目標を決める

 

漫然とやるのではなくて、目標を決めてそれに向かっていくのと、目標もないままに漫然と進めるのでは到達地点があきらかにかわります。目標をたてることで、その後の行動にも変化がでてきます。

目標があるので、最初にその目標を達成するのに必要な条件を確認しました

優勝するのに必要なのはどのレベルなのか、何をもって評価されるのか、その評価軸です。

カイゼン活動なので、普通に、納期、品質、コストなどでどれだけ効率化されて効果があったのかが、評価ポイントになります。
優勝するには、どの程度の効果が必要かを調べました。

他にもいろいろな評価軸がありました。

もっとも、活動として特に目新しい評価ものではなく、一般的な活動評価がなされている様子でした。
例えばですが、以下のようなものです。

・活動成果として、コスト削減につながること
・チームとして全員が協力して行動していること
・問題解決のプロセスにしたがって、真の問題がつぶせていること
・独自性、新規性がみられること
・チーム活動の努力がみられること(どれだけがんばったか)

テーマ(やること)を決める

先に調べた評価に見合うように実施するものを決めました。

チーム内でいくつかアイディアを出し合って最終決定します。

ここでテーマを決める際に、事前に調査した評価軸が役にたちます

「部署でかった本を台帳に簡単に登録する仕組みをつくったらどうでしょう?」
「月に何冊くらい買うんだっけ?」
「5、6冊くらいです」

書籍を購入して台帳登録が効率的になることは確かにすばらしいのだけど、5、6回の台帳登録作業の効率化では、優勝を狙う場合には効果が低すぎました。
テーマとしてはいいんだけど、優勝を狙うテーマとしては却下。

そもそも、今回のカイゼン取り組みの流れとしては、現状の問題を把握してそれを改善していく必要があるので、やること・やりたいことありきではなく、現状の業務の中にある問題を洗い出します。

実業務の中に問題はある。

単純作業なのに数が多くて時間がかかっているものなどをみんなで探しました。

普段困っていることが見つかって、その仕事の効率化をテーマにしています。

業務時間の短縮(効率化)がテーマ。

 

現状を把握する

 

テーマに決まった業務作業を分解してどの作業に一番時間がかかっているかを洗い出します

最も時間がかかっている作業の中で、非効率な作業が真に手をあてる問題になります。

非効率な箇所がわかれば、どの程度削減できるかを想定し、削減目標を立案しました

その削減ができたとき、優勝が想定されるだけの効果がでているかが今回のポイントでした。

実際に計算すると、優勝も狙えそうなくらいの効果がありそうでした。

最終的に、クラウド関連業務の自働化を、会社としてははじめての技術をつかって全自動化することにしました。

業務自働化によるコストメリット、初めての試みで努力も必要だし新規性や独自性も見られるということで選定。

やはり、狙いに対してそれが達成できるテーマにしないと、そもそも最初にたてた目標が達成できなくなります。

 

実行する

 

実施していくなかでは様々な課題が発生しますが、大切なのはみんなのモチベーション、今回は自分たちが言い出した”優勝”という目標があったので、みんなが一丸となって頑張れました。

新しい技術を使ったので日本でも大手のとあるメーカーしか取り組んでいなかったため、そこの方から話を聞いたり、実現するために公開されているプログラムのソースコードを調べたりと、手分けをして頑張ること数カ月。

通常業務は別にあるわけなので、業務に加えての更なる作業は大変だったのですが、協力して乗り切り、なんとか想定通りの結果を得ることができました

 

発表そして、いざ本番

カイゼン発表

評価・発表

 

結果が出た後は、選考会もあるのでそれをいかにプレゼンするかです。

プレゼン資料は、トヨタ式の問題解決の手順にそった方が評価があがるので手順にしたがってストーリーは作るとしても、しっかりプレゼン資料はつくりこみました。

使ったのは、マイクロソフト社のパワーポイント。

まずは、過去10年分の1-3位の資料を休日出勤して全部調べました
最初に優勝したいと言い出した部下も一緒にでてくれました。

どのような資料が上位入賞するのかは、知らないと書けません。
やはり必要なレベルを把握するのが大切です

一般的なプレゼン資料の作成の基本にのっとった上で、
最初に調べた評価軸に対して、きちんと説明するような資料を心がけて作成します。

・問題解決の手順に従う
問題発見→現状把握→目標立案→要因分析→対策立案・実行→評価→今後の課題と対応

・資料1枚につき言いたいことは1テーマにする

・評価項目になることについてはしっかりと表現する
チーム一丸となって実施
コスト削減は、1日あたり、1か月あたり、1年あたり、今後の予測も提示
新規の技術を利用しての努力もあわせて表現

・発表担当者は十分な時間をとって練習(数時間は発表練習)

プレゼンって、説明しても短い時間の中で全てを覚えてもらうのは難しいので、タイトルやチーム名にも工夫をこらしました

・チーム名にもタイトルにも数字を入れる
皆の努力で効果3倍とか、1000万費用低減とか、自動化100%チーム、新技術発掘チーム、とかいう表現

これにより、最初に興味をひきつけることができてプレゼンをちゃんと聞いてもらえます。
あわせて、評価選考委員(会社の役員)の好みそうな表現や内容も強調しました。

もっとも、10人くらいはいるので、誰にあわせるかもあるし、やりすぎは禁物。
そもそも、本質ではありませんしね(笑)

選考会は複数回あるので、発表のたびに資料や発表のしかたを改善していきました

ということで、ここまでやったら、最後は当初の目標通り無事優勝

一度理解してしまうと、その後は、ここまで苦労しなくとも、翌年、さらに次の年と3年連続でトップになります。

3年連続したので、殿堂入り(勝手に)ということで、その後は後進にゆずり参加することはやめましたが、問題解決、カイゼンについて自分の理解も深まり、いい経験をさせてもらいました。

問題解決について

これまでの自分の経験をもとに、カイゼン・問題解決に対するコンサル、ご支援、カイゼン活動を会社に定着させるお手伝いなどを実施しております。
もしお困りの時、興味がわいた時には一度ご相談ください。下記にリンクも貼っておきます。

https://simpleonesoft.com/kaizen/

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