現在注目されている技術トレンドとそれによって世の中がどのように変化しつつあるのかについて、まとめました。
2020年の主な技術トレンドと近未来
主な技術トレンド
人工知能(AI)
AIの進歩は既に世の中を大きく変えつつあります。
トレンドになっているのは、ビックデータを活用した機械学習とりわけディープラーニング、そこから派生して自然言語処理など。
これら人工知能(AI)を利用した技術は、Siri、Googleアシスタント、Alexa、などの登場で、日常生活の一部にはいりこんできています。
数々の機械学習と自然言語処理の技術を活かしていくことで、今後AIは、人とのかかわりをますます強めて、人間の感情を読み取れるように進化しつつあります。
見る(顔認識による)、聞く、話す、デバイスを通した読み取りを通してより人間に近いインターフェースで人をサポートするようになってきます。
音声コマンドを使用すれば、多くの操作を実行できるようになります。
チャットでもチャットボットがますます進化を遂げることになります。
一家に一台どころか、一人に一台のAIアシスタント(秘書)がつく時代がすぐそこに来ていると感じます。
実際に世界でAIが大量に使用されることにより、カスタマーエクスペリエンス、医学ヘルスケア、フィンテック(金融)など、さまざまな分野でAIが活躍しています。
人工知能(AI)の適用分野例
- お客様対応(銀行などの店頭での案内)
- 医学(画像による傷病の判断示唆)
- フィンテック(株価予測)
- 採用(採用の事前振り分け、示唆)
- マーケティング(ネット販売傾向分析、購買喚起)
- 農業(農作物の状況判断)
- 気象(天候予測)
人工知能は、最近は、技術トレンドのトップの地位を維持し続けています。
上記は数多くあるなかの一部にすぎませんが、AIは継続して幅広いユースケースで人間の意思決定の支援をおこなうようになっていきます。
ブロックチェーン
ブロックチェーンの拡大に伴い、セキュリティ機能が強化されます。
主要な機関がブロックチェーンを導入しつつあり、大規模な情報漏えいやインターネット詐欺を防止するようになってきます。
IBMは、ブロックチェーンに注力していますし、中国は、ICBC(中国工商銀行)、アリババグループ、中国南方航空などのサービスへのブロックチェーンの導入をはじめています。
今後、この技術の発展により、お金という概念が変化してくると考えられます。
現物の貨幣ではなく、ネット上の信頼で成り立つ価値が対価となった取引がされるように変わってくると予測できます。
通信回線(5G)
5Gとは’5th Generation’の略で日本語では「第5世代移動通信システム」といいます。
5Gの特徴
- 【高速大容量】 通信速度は20倍
- 【高信頼・低遅延通信】伝送遅延は10分の1
- 【多数同時接続】同時接続台数は10倍
5Gは、次世代通信インフラとして社会的な技術革新をもたらすと言われていて、日本では2020年春より商用サービスがスタートします。
米国と中国の間でも5Gの適用競争は2020年にメインステージにはいってくるようです。
通信回線が強化されることで、VR、遠隔医療、ドローン制御、自動走行など、各種分野でさらなる適用がすすみます。
IOT
5Gの発展ともあいまって、相互に接続されたデバイスと主流のIoTアプリケーションの数が急速に広がってきます。
Amazonは、IoTと画像認識の技術を適用し、お客様がキャッシャーに並んで支払いをすることなく買い物ができるようなシステム(Amazon Go)を立ち上げました。
日本でもAmazon GO型の無人店舗は、徐々に立ち上がりつつあります。
Startups Cognition(米国)、Accel Robotics(米国)、Trigo(イスラエル)、Grabango(米国)、AiFi(米国)も、Amazon Goと同様のサービスを提供しています。
ゲノム解析
ゲノム(DNAに含まれる遺伝子の情報)の解析によって、がんや難病などの原因解明や新治療法の開発につながります。
日本でも、国立がん研究センターなど国内の医療研究機関が連携し、10万人規模の患者の全遺伝情報(ゲノム)を網羅的に調べる「全ゲノム解析」が2020年にスタートしています。
厚生労働省は「一人ひとりの治療精度を格段に向上させ、治療法のない患者に新たな治療を提供するがん・難病などの医療の発展を図り、個別化医療を推進してがんの克服を目指したがん患者のより良い医療を推進する」ことを全ゲノム解析の目的に掲げています。
実際に、ゲノムを細かく調べることで、各個人の体質や病気の特性に合わせた治療が行えるようになります。
そのため副作用も少なく効果も高い治療ができるようになるし、予見される病気に対する予防治療も期待できます。
エッジコンピューティング
エッジコンピューティングとは、センサーやデバイスなどから得られるのデータを、発生した現場に近い場所(エッジ)で処理する技術のことです。
エッジ側のハードウエアがセンサーやデバイスのデータの収集や処理を実施、処理されたデータをクラウドなどのサーバーに送信して、蓄積、クラウド側で活用につなげるという流れです。
IoT時代の到来で、さまざまな機器が扱うデータ量は急激に増加しています。
求められる処理のスピードとレスポンスもより高いレベルになってきています。
大量のデータを扱うためには、大規模なデータセンターが必要なため、クラウドコンピューティングが注目されました。
一方でインターネットを介してクラウドへとデータを送り、それを処理して戻すのでは処理時間がかかってしまいます。
そこでエッジコンピューティングです。
通信量やセンタークラウド側の処理を減らすことで、システム全体の処理速度を向上させるし、処理する前の余分なデータを送信しないことでやセキュリティーも向上します。
量子コンピューティング
まだまだ発展途上とは言え、将来を大きく変える可能性がある技術に、量子コンピュータの技術があります。
量子コンピュータでは、古典的なコンピュータが0か1のビットのオンオフで表現していたものを、量子コンピュータがつかう量子ビットは、重ね合わせた状態をとることが可能です。
つまり古典的コンピュータの計算では、ある瞬間にとれる状態は1つの状態なのに、量子コンピュータでは、ビットがnに増えれば2のn乗の重ね合わせた状態をとることができるようになります。
理論上は同時並行でそれだけの計算が可能ということです。
現在のコンピュータが32ビットとか64ビットといってますが、同様のビット数の量子コンピュータがあったとしたら、2の32乗とか64乗の台数のコンピュータが並列処理しているのと理論上同じことになります。
ただし、どの状態になるかは確率になるため、現在の課題はその正確性になります。
実際グーグルの量子プロセッサー「Sycamore(シカモア)」を搭載したマシンが、スーパーコンピュターでも1万年かかる問題を数分で解いたという発表をしています。
実用面ではまだまだこれからの技術かもしれませんが、データが増加するにつれて、量子コンピューティングは、ヘルスケアやエネルギーなど、ビッグデータを処理する必要性はたかまってきています。
IBM、Google、Intel、Microsoft、およびAlibabaの企業は、量子コンピューティングの開発に余念がありません。
まとめ
今回は各種技術トレンドについて、まとめてみました。
これらの技術は単独というよりは、いろいろ組み合わされて世の中の進歩につながっていきます。
今後は技術的な発展は今まで以上に急速になってきます。
技術トレンドからは目がはなせない時代になってきていると思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。