問題解決は、別に経営課題だとか仕事の効率化だけにつかわれるものではありません。
トヨタでは、あらゆる業務を問題解決で実施することを指導されてきましたが、普段の生活でこうしたいと考えていることがあったら、それも問題解決で解決できるはず、ということで、今回はその2回目。
彼氏から太った?といわれてショックを受けてダイエットに取り組んでいる30歳のOLの物語です。
誕生日にプロポーズして欲しいと思っています。
今回は、「なぜなぜ分析」から、実施、評価を行います。
※以前、ダイエットで3カ月9キロを2回ほどやって自分でも達成してますので、その経験もふまえてます。
第1回をまだ読んでいない方は、そちらからお読みいただくと、より内容がわかります。
ダイエットへの挑戦(1)【トヨタ式問題解決手法でダイエット】
ダイエットをトヨタ式の問題解決でやってみる(その2)
問題解決の8ステップの手順をおさらいします。
問題発見:解決すべき問題を発見しテーマを選定
現状把握:現状の問題を複数視点で分析し重大な問題を特定
目標設定:具体的な数字で達成目標を設定
真因分析:問題の真因を追及
対策立案:真因を解決するための対策を立案し実施対象を決定
対策実施:対策を個人、チーム、周囲を巻き込む等して実施
結果評価:目標達成度合いの評価
定着展開:残課題への対応、内容の標準化および他への展開
第1回では、目標の設定までを実施したので、今回は真因分析から行います。
現状と目標は次のように設定しました。
【現状の問題点(現状把握で判明したこと)】
■外食(飲み会)にいくと、体重が増加。継続して体重が増加し続けている。
・標準体重より6キロ増
・二重あご、三段腹でかわいらしさ激減中
・フィットネスジム通いもやめた
■肝臓のガンマGTPの数値が適正範囲を超過
・アルコールに弱いアレルギー反応あり
【目標設定】
■三か月後までに、体重を標準体重の50キロまで健康的に落とす(▲6キロ)
・三段ばらと二重あごを解消する
■ガンマGTPの値を成人女性の正常値(32未満)にする(▲1以上)
以上の結果として、4か月後の誕生日に、彼からプロポーズを受ける。
ダイエットを頑張る30歳のOLは、2年前から付き合っている彼氏から、誕生日に無事プロポーズを受けることができるのでしょうか。
4)真因分析:問題の真因を追及
把握した現状の問題に対して、なぜなぜ分析を行います。真因分析は現状把握結果から行います。
問題から → なぜ → なぜ → なぜ ・・・ と原因を追究していきます。
■外食(飲み会)で体重が増加している
→ 食べ過ぎで摂取カロリーが高い(3500キロカロリー)
→→→→ 目の前のものは残さず食べている
→→→→→→→→ 食べ過ぎを意識していなかった
→→→→→→→→→→→→一日に必要なカロリー量(1800キロカロリー)を意識していない【A】
→ カロリーの高いものをよく頼んで食べている
→→→→→→→→ 高カロリー食品(揚げ物、油もの、チーズ等)が好き
→→→→→→→→→→→→太ることを意識していなかった【B】
→ 消費カロリー量よりも摂取カロリー量が多い
→→→→ フィットネスジム通いをやめて基礎代謝が低下した【C】
→ 誘われたら必ず飲み会に参加していた
→→→→ 断る理由がなかった【D】
■肝臓のガンマGTPの数値が適正範囲を超過
→ 週2回程度の飲酒をしている(11月から1月はより頻度が高い)
→→→→ アルコールに弱いアレルギーがある(にもかかわらずアルコール(酒)を飲んでいた)【E】
このようになぜなぜ分析をしていきます。
真因が5つ洗い出されました。
【A】一日に必要なカロリー量(1800キロカロリー)を意識せず大食い
【B】太ることを意識していなかった
【C】フィットネスジム通いをやめて基礎代謝が低下していた
【D】飲み会を断る理由がないので、誘われたら参加していた
【E】アルコールにアレルギーがあるのに飲酒していた
5)対策立案:真因を解決するための対策を立案し実施対象を決定
真因に対して対策を立案します。
【A】一日に必要なカロリー量(1800キロカロリー)を意識せず大食い
【B】太ることを意識していなかった
ここの対策は、「意識して食事を減らし摂取カロリー量を抑える」になります。
実際の対策に対しては、目標値(3カ月6キロ)を意識して計画を立案することになります。
対策を立案するにあたって、必要に応じて対策内容の調査、検討を実施します。
ここでは例えば、体重1キロを減らすのにどの程度のカロリー摂取を減らせばよいかなどを調べています。
3か月で6キロなので、1か月平均 2キロずつ体重を減らす
1キロ減らすのに約7000キロカロリー摂取量を減らせばよい
月2キロ減なので、1か月に14000キロカロリーを減らせば達成可能
14000キロカロリーを1か月で減らすには、1日あたり約500キロカロリー(470)の削減
それを考慮し、1日あたり、1300キロカロリーに抑えれば、体重が減ると想定できる
対策1:
ダイエットを意識し、1日の食事の摂取カロリーを1300キロカロリー内に抑える
【C】フィットネスジム通いをやめて基礎代謝が低下していた
対策2:
運動(フィットネスジム通い等)を再開
実際には、仕事との兼ね合いもありフィットネスジム通いではなく、自宅でできる運動用の器具を購入して
毎日運動することとする。
【D】飲み会を断る理由がないので、誘われたら参加していた
【E】アルコールにアレルギーがあるのに飲酒していた
対策3:
アルコールにアレルギーがあることおよび、ダイエットをしていることを周囲に伝え、飲み会への参加は最低限にする
(必要な飲み会―お世話になった方への送別会などには参加しても、飲酒は控える)
6)対策実施:対策を個人、チーム、周囲を巻き込む等して実施
先に立案した対策を計画的に実施していきます。
実施にあたり、毎日の摂取カロリーを計算するために、食材のカロリーを把握できるようにします。
具体的には、携帯用のカロリーブック(卵1個80キロカロリーとか、ごはん一膳250キロカロリーとかが書いてある本)を購入してみる。
あわせて、運動用の器具を購入、日々のトレーニング計画を立案して、実施していきます。
ダイエットは無理して実施しても体調を壊すだけなので、1日1300キロカロリーは、バランスのよい食事で摂取することをこころがけます。逆に、基礎代謝や運動で消費するカロリーを考えると、1日1300キロカロリーを摂取しても体重は減る計算になります。
実施していく中で課題もでてきますので、課題対策をしていきます。
月に2キロとすると、週に約0.5キロの体重を落とすことが必要なため、順調に落ちているか体重をみておきます。
これは自分の体験ですが、実際にダイエットを続けていると、身体がカロリーが少ないことに慣れてしまい体重が減らなくなります。そういう停滞期には、一度炭水化物などを大量に食べる(1日で、おにぎり8個)などすると、数日後からまた順調に減りだしました。最初のダイエットをしていたとき、偶然発見したのですが、「チートディ」と言って有名な話のようです。
停滞期には是非お試しください、結構な効果がありました。
7)結果評価:目標達成度合いの評価
このように計画して実行していけば、目標が達成する確率は格段にあがります。
実際に、OLの彼女も3カ月で6キロ削減ダイエットを成功させ、翌月の誕生日には無事、彼氏からプロポーズされました(笑)
評価は、100点(〇)ということです。
8)定着展開:残課題への対応、内容の標準化および他への展開
3か月でダイエットに成功しても、それを継続して、やせた体重を維持していくことが大切になります。
もっとも、1300キロカロリーを継続する必要はなく、1800キロカロリーを維持し、大食いをやめてお酒も控えれば、体調もよく健康も保つことがわかりました。
美しさを保つことも、離婚率を下げることにつながるという研究もあるようです。
末永くお幸せに、ということで、トヨタ式問題解決でダイエットは、ここまでにします。
トヨタ式の問題解決について
実業務とは違うものでベタな想定でしたが、問題解決がどういうものかをお伝えするつもりで、多少自分の経験もふまえて創作してみました。
2回に分けて記事を書いてみましたが、問題解決がどのような考え方で行われているか、その一部でもお伝えできればと思います。
実際に、体重が増えた現状のみを問題として減らしにいっても、現状把握や真因分析、対策立案としてきちんとできていなければ、体調を壊す結果になるかもしれないし、本当にやせるかやってみないとわからないということになりかねません。
トヨタはこのような問題解決を実際の業務に適用していくことで成長してきました。
あなたの会社の成長の助けに少しでもなれば、幸いです。
第一回めのダイエットの記事は、こちらです。
ダイエットへの挑戦(1)【トヨタ式問題解決手法でダイエット】
問題解決について
今回のような問題解決技法を、あなたの問題、あなたの会社の問題に適用してみませんか。
これまでの自分の経験をもとに、各種問題解決に対するコンサル、ご支援、問題解決を会社に定着させるお手伝いなどを実施しております。
もしお困りの時、興味がわいた時には一度ご相談ください。下記にリンクも貼っておきます。