システム開発 プロジェクトマネジメント

プロジェクトマネジメントの成功の秘訣【課題管理のやり方と管理項目】

プロジェクトを成功させるためにプロジェクト計画とともに、大切な位置をしめるのが課題管理です

課題管理がしっかりできていないプロジェクトは、表向き進んでいるように見えても、あるタイミングで突然おくれがでて立上げさえできなくなったりと、そんなプロジェクトもいくつか見たことがあります。

プロジェクトを成功に導く課題管理とは?

今回は、プロジェクトマネジメントの肝、課題管理を扱います。

 

課題管理はプロジェクト成功の秘訣

プロジェクト課題管理

◇プロジェクトの課題管理がなぜ大切か

プロジェクトは生きています。生きている以上、常に動いているわけで、最初の計画を完璧にたてたとしても、よほど何度も繰り返して習熟度が高いものを除けば、とにかく解決すべき課題がでてしまうものです。

以前リスクを扱いましたが、リスクはプロジェクトを進めるのに障害になることですが、発生が不確実なものをさします。
一方で、問題・課題は、プロジェクトに実際に影響がある、発生してしまった問題、またはある一定時期までに必ず解決しておかないといけない事象のことをいいます。

必ず解決しなければいけないので、担当を決めて期限までに対応し、終わらせておく必要があります。

ところが、この課題というものがやっかいで、プロジェクトの場合、作業タスクとして割り振られているものがあって、それに追加で出てくることが多いわけです。
人間は神ではなく、プロジェクトが生きものだからですが、そうするとどうしても後回しになってしまいます。

そうして後回しになればなるほど、プロジェクトとして対応が厳しくなり、最後は爆発してプロジェクト失敗とかになりかねません。
課題管理をしっかりやっておけば、例えば、

この課題はAさんが担当だけどAさんは別タスクが高負荷で期限までの対応は厳しいから、ここは応援でBさんをまわして対応してもらうようにしましょう

というようなことができるわけです。

また、マネージャーやリーダーが把握して課題をブレークダウンして対応することもできるわけです。

「課題は、製品Xを開発中のシステムに組み込むとエラーで動かない、ということですね
では、実際に製品仕様の調査、製品開発もとへの問い合わせをBさん、並行で原因究明・動作検証をCさん、納期はいついつ」

担当だけに押し付けてしまい、できなかったから悪いではなく、プロジェクトは参加している全員でゴールを目指すものです

課題管理をしていないと、これができなくなってしまうので、課題管理はプロジェクトでは重要ということです。

 

◇課題を出しやすくしよう

プロジェクトの応援をしていると、よくよく聞く話があります。
気づいていたけど担当決まってないし、言い出すと自分にまわってきそうだから言わなかった

大抵はプロジェクトリーダーやマネージャーが無責任丸投げ型の場合に、こんな話が蔓延することがあるのですが、プロジェクトは高確率で失敗します

課題管理とは、課題を腹に落として、解決の方向性をプロジェクト内で合意し、適切なメンバーに解決を依頼、実際に解決を見届ける、ところまでが仕事です。

せっかく課題をあげてくれた人に、その人の担当でもないのに丸投げしてしまうのであれば、課題はでてこなくなるし、管理の必要性がありません。

課題がでやすい環境づくり、悪い課題ほどまっさきに報告があがる、そんな環境づくりを心がけると、プロジェクトは成功に近づきます

 

◇課題管理のコツ

では、課題管理はどこに気を付けたらいいのでしょうか。
そのポイントをいくつか挙げてみます。

・課題管理の運用を決める

課題管理は、大規模・中規模のプロジェクトになったら、実際に課題調整会議等を定期的に設けて対応していくケースが多いです。

課題管理担当者を決めて、週1回、チームリーダーを集めて、課題の対応状況をシェアするという運用です。

例えば、10人程度までのプロジェクトであれば、プロジェクトマネージャーかリーダーが課題管理担当を兼ねて、打ち合わせを開くか進捗ミーティングの場でやってしまうでも、課題が順調に消化されていくのであれば問題はありません。

課題によっては、担当ベースの技術的な課題、プロジェクト運営にかかわるマネジメント課題と、課題解決にかかわる担当者の層がわかれるケースもあります。
そんなときは、マネジメント課題は進捗報告の場、ないしはその延長の場で、技術課題、詳細の課題は別途というのもあり得ます。

開発の工程や進め方によっても変わると思います。
アジャイル開発プロジェクトの場合の場合は、プロジェクトで実施しなければいけない課題とバックログをツールで管理して、前の課題を消化した担当が次を拾いに行く、という運用になるかもしれません。

どのような場合でも、課題をどう取りまわすか、そのとりまわしの責任者が誰かは、決定しておく必要があります

 

・優先度を見極める

課題は、優先度をつけて、優先順位の高いものから対応していくことが必要です。

優先度は、2つの側面ではかります。重要度と緊急度です

課題の重要度と緊急度

重要度がたかければ高いほど、緊急度が高ければ高いほど優先的に解決する必要があります

もっとも、いくら緊急度がたかくても、そのプロジェクトにとってその課題は、重要度が低い(低すぎる)場合には、対応しないでやり過ごす、という判断もあるので、課題管理者、プロジェクトマネージャは、課題に対しては重要度を含めて全体を把握しておく必要があります。

 

・現地現物で確認

課題はその課題を解決することができるメンバーで対応するのが普通ですが、リーダーやマネージャーの視点で見た時にその対応が不十分であることがあります。

実際には使えない品質だったり、その担当者の範囲への考慮が不足していたり、挙句の果ては、直属リーダーががすぐ怒鳴るからやったことにしてしまったなどという例を見たこともあります。

課題については、必ず現地現物でその妥当性を、しかるべき人間で確認すべきです

その課題確認の中で、新たな課題が見つかることもあります。

課題が1つ見つかれば、プロジェクトは1つ成功に近づいたということです

 

・氷山の一角、横展

課題が見つかった場合、それと似たような課題はたくさん隠れていると考える習慣は持つべきです

1つのチームで困っていることは、他のチームでも困っているだろうし、ある人がかかえる課題は他にも隠れています。

ある画面で、その作り方では性能がでないことがわかったら、他の画面でも同じ作り方をしてませんか?
必要によっては、直し方も含めて、作り方を標準化して展開した方がいいかも知れません。

同じような視点でプロジェクト内を横断的に確認して、将来発生する課題を先につぶしてしましましょう。

課題は氷山の一角、類似課題は横展でつぶすことです

 

課題管理の方法

プロジェクト課題管理

◇課題管理項目

課題を適切に管理するためには、課題管理表は必要です。
課題管理表のイメージを掲載します。(実プロジェクトでは、ツールやEXCELなどで一元管理をお勧めします。ここに載せたのは、項目例を示すためのイメージになります)

課題管理票

 

課題番号※:課題番号は重複しないように決定、プロジェクト内では課題番号で管理

分類:チームがある場合はチームで絞れるように(マネジメント、インフラ、開発)等の分類をつける

項目※:課題項目が詳細内容を読まなくともわかるように、端的に記載

内容※:課題の内容、何に影響するかの詳細を記載

起票者:起票した人

担当者※:その課題の担当者(個人指定)

優先度:課題は優先度を記入(緊急度と重要度から判定)

期限※:期限を記入

対応方針と状況※:対応の状況を記載。対応方針が決定したら、対応方針を明示

完了日※:完了したら完了日を記入

状況(ステータス):未着手、実施中、期限遅れ、完了等

 

※をつけたものが必須項目で、それ以外はオプションですが、オプション項目も実際にはあった方がいいので、管理表の項目としては追加しておいた方がいいと思います

リーダーやマネージャーは、定期的に(可能な限り毎日)、課題管理は実施すべきです
対応が遅れれば遅れるほど、プロジェクトに対する影響は大きくなります。

1週間前ならできたのに、いまからでは厳しい、などということが発生して余計な調整がはいらないようにするためにも、こまめなチェックが大事です。

 

◇まとめ

プロジェクトは参加している全員でゴールを目指すものです

課題は、現地現物で確認して、解決方法や対応内容が不十分であれば、相互協力して解決をめざしてください。
また、1つの課題はその裏側に潜在する100の課題の表れかもしれません、課題は横展し、リスクをつぶしておくことで、プロジェクトは成功にぐっと近づくものです。

 

最後までおよみくださり、ありがとうございました。

今回はプロジェクト管理の肝ともなる課題管理についてでした。

プロジェクトマネジメント等で、お困りのことがあれば、一度お気軽にご相談ください。

 

-システム開発, プロジェクトマネジメント

Copyright© SIMPLEONESOFT (BLOG) , 2024 All Rights Reserved.