今回はプロジェクトマネージャとして必要とされるスキルと特性について説明していきます。
スキルとは学習や経験によって身につけるべきもので、特性とはできるPMになるために必要な行動特性のことで、単純なスキルだけでは語れない考え方やそのふるまいの傾向を指しています。
最初スキルを整理していて、スキルだけではプロジェクトは成功しない、ということに気がついて、行動特性を追加しています。
全部で10個。
6つのスキルと4つの行動特性をみにつけることで、プロジェクトに成功をもたらすPMになることができます。
プロジェクトマネージャに必要なスキルと行動特性
プロジェクトマネージャーには2つの側面で身につけておくスキルがあります。
1つめが、書籍等から知識としてみにつけ、実践してそれを使えるようにするスキルです。
2つめは、一般的なスキルというよりは、成功するPMがとる考え方、行動をするためのスキルです。
勉強で身につけた知識だけでは、実際のプロジェクトをまわすのはなかなか難しく、一定の経験が必要になります。
さらには、単に経験しただけではなかなかわからない、コツという部分が確かにプロジェクトマネジメントにはあります。
それぞれをまとめてみました。
まずは、知識を蓄え、実践でみにつけるべき6つのスキルです。
- マネジメントスキル
- 業務スキル
- 技術スキル
- コミュニケーションスキル
- 営業スキル
- 問題解決スキル
次に、さらなるステップアップ、プロジェクトを成功させるために、プロジェクトマネージャーとしてもつべき力です。
- 先読みの力
- 全体把握の力
- やり抜く力
- 変えない力
PMに必要な6つのスキル
プロジェクトマネージャーに必要な6つのスキルについて、説明していきます。
マネジメントスキル
プロジェクトを円滑にすすめるにはには、スケジュールや予算、人材などの計画を立て、状況に合わせて調整をするマネジメントスキルは必要なスキルです。
PMBOK等にもあるような体系的な知識を身に着けておくことで、プロジェクトで何をやったらいいか暗礁に乗りあげることを減らすことができます。
業務スキル
プロジェクトマネージャーには、ステークフォルダーであるお客様と話をする機会は数多くあります。
お客様は、システム的な知識よりは、業務面での知識・経験を中心に話をすすめてきます。
そこで会話ができるようになる必要があります。
開発対象となるシステムの業務用語、業界用語等は理解しておき、話ができるようにしておくことは重要です。
あわせて、対象システムの業務そのもの(製造とか、物流とか、販売とか)については、深く知らないまでも、実施している業務内容の基本的な流れは押さえておく必要があります。
お客様は、業務を改善したいわけであって、ただシステムを作ることが目的ではありません。
開発しているシステムがお客様の業務にどのような影響があるか、効果があるかを把握せずに、お客様とは会話はできないものです。
そういう点からも、担当まかせにせずに、開発する業務に対する知識も身につけておく必要があります。
技術スキル
プロジェクトマネージャーは、開発現場の代表としてお客様と話をします。
お客様から、IT技術についてたずねられる機会もでてくるため、IT業界の動向や、ソリューションをお客様に理解できる形で説明できるだけの知識は必要となります。
- プロジェクトで使用するハード/ソフトウェア、ネットワーク技術などのIT(情報技術) 知識、
- プロジェクトを効率的に運営するための設計技法・テスト技法
- 見積り手法など開発につかわれるソフトウェアエンジニアリングの知識
- コストの算出や人員計画などをきめ細やかに進めるには、各工程で実施する作業の技術的な必要性
あわせて、最新動向にも目を通し、必要に応じてお客様に提案することも信頼を得るためには重要なポイントとなります。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションは、プロジェクトマネージャーの業務のかなりの部分をしめます。
実際に、プロジェクトに携わるメンバー、お客様、ご協力いただいている関係各社、自社の上司・役員など、多くの人とコミュニケーションをとる必要がでてきます。
メンバーとの何気ない雑談から、メンバーの体調や困っていることを知って対策をうつこともあります。
プロジェクトマネージャーとは、人(プロジェクトメンバー)を通じて仕事を遂行するものです。
そのため、単純なコミュニケーションだけではなく、ネゴシエーションや会議運営のためのファシリテーション、チームメンバーへの指導、コーチングスキル等も、意識的に学習し、身につけておけば、PMの成長につながります。
営業スキル
プロジェクトマネージャーには、実は営業スキルも必要になります。
プロジェクトを円滑にまわすためには、人件費をはじめ費用が必要となります。
技術的な見積もりだけではなく、お客様からきちんと必要な費用をいただくことも、大切な仕事になります。
あわせて、プロジェクトのクロージングの際に、一緒にプロジェクトチームに所属していたメンバーに対して次の仕事を提供したり、自分の次の仕事を見つけたりするのも、例え別に営業の方がいたとしても、実質的にはプロジェクトマネージャーの仕事でもあります。
問題解決スキル
プロジェクトを進めていくと、どうしても問題が発生します。
プロジェクトを前にすすめるためにも、プロジェクトマネージャーには、問題発生時に原因を特定し解決策をうちだす能力は重要になってきます。
問題にたいしては、単純に対処するだけではなく、類似の問題が発生しそうな部分に対しては対策を打ち、同じ問題が再発しないような防止策も実施するなど、問題解決はプロジェクト成功のポイントのひとつです。
PMに必要な4つの特性
次に、プロジェクトマネージャーに必要な、考え方、特性について解説していきます。
5億、6億という大規模なプロジェクトを推進できるPMが皆同じようにもつ特性を整理しています。
プロマネとしてのステップアップのために、是非真似してみてください。
先読みの力
まず先読みです。常にプロジェクトがどうなるか、お客様が次にどうでてくるかなどを考えて、先手をうった対応ができることが、プロジェクト成功のカギとなります。
「これからどうなるか」を現状と各ステークフォルダーの特性も考慮しながら常に考えておくことで、プロジェクトで発生する大きな問題の回避につながります。
なお、問題はすべて回避する必要はありません。
先読みして、大したことがない場合、または問題が発生した方が、プロジェクトがうまくすすむと読める場合には、あえて問題を顕在化させることも一つの判断です。
常に先をよみながら、プロジェクトを動かしていくことがPMの役割になります。
全体把握の力
最終的にプロジェクトを立ち上げるのが一つのゴールになります。
プロジェクトでは各種課題が発生しますが、プロジェクトの状況によっては、解決しなくてもいいような課題もたくさんあったりします。
全体を把握したうえで、取り組むべきことに優先順位をつけてプロジェクトの最終ゴールに向けて戦略的に実施事項を決めていくことが大切です。
実施事項の判断、優先順位をつけるためには、全体を把握しておくことが必要です。
やり抜く力
いうまでもありませんが、プロジェクトは数カ月から場合によっては、数年単位のものも普通に存在します。
プロジェクトマネージャーになった以上は、最後までやりきることで、プロジェクトを立ち上げたことになります。
数々のPMをみてきましたが、成功させるPMには、やり抜くという強い意志がありました。
その気持ちがプロジェクトを成功に導いているものだと確信しています。
変えない力
プロジェクトを失敗させようと思ったら、朝三暮四を行うことです。
できるマネージャーは、一度きめたことをかたくなに貫こうとします。
余程の場合は変更もしますが、慎重におこなっています。
主な理由は、2つです。
・タイミングによっていうことが変わる人には誰もついてこない
・そもそもどの手段をとっても大差はないので、多少遠回りでも進めるのが重要
以上、プロジェクトマネージャに必要なスキルと特性についてまとめました。
今回はここまでにします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。