いつも問題は目の前にあるのだけれど、意外に気づかずに通り過ぎてしまうことってありませんか。
問題が見つからないから、結局そのままになってしまう。
今回は、問題発見について書いてみようと思います。
問題発見のスキルの極意
問題は単純な目の前に見えるものだけからではなく、あなたにとって本当はどうあるべきかとのギャップとしてとらえます。
問題の捉え方(その1)
例えば何かのプロジェクトに属しているとします。システム開発を例にしますが、製品の開発でも同じように考えられます。
あなたがプロジェクトのリーダーで、システムの品質が非常に悪くて困っていると想定します。
「問題はなんだ?」
「バグが20件あることです」
問題はあるべき姿とのギャップだから、ということで、
問題:バグが20件あること
あるべき姿:バグが0件になること
ついついこれで終わりにしてバグをつぶせば目標達成でこの問題は解決と考えてしまいがちです。しかし僕は、トヨタでこのような捉え方をしては、いつも指導をうけてました。
「それは、現状にしか過ぎないから」
現状と言われても、長い間なかなか理解できずにいました。
もっと広い視野をもつと違うことも見えてくるということですが、先ほど想定した立場、役割は「プロジェクトのリーダー」でした。プロジェクトのリーダとしてやらなければならないのは、プロジェクトを納期・品質・コストを守りながら立上げお客様に満足していただくことです。
あなたの立場で考えないといけないことは、プロジェクトが無事立ち上がるか、なのです。
品質バグが20件あっても、もともとのスケジュール上でるべくしえ出ていて、立上げ前までに解決できるのであれば問題でもなんでもないわけです。逆に、品質のバグが20件あって、その解決時間を予想するとプロジェクトが遅延し立ち上がらなくなる、とすればそれは問題です。
ということで、書き直します。
問題:バグが20件あり解決工数不足でプロジェクトが立ち上がらない
あるべき姿:バグが納期(〇月〇日)までに解消し、プロジェクトが立ち上がること
問題は、自分の立場で本当の問題は何かという目線で見つけだすのが大切になります。
問題の捉え方(その2)
システム開発の例だと、開発だからつかえるのじゃないかという反論もでそうですが、もともとトヨタの問題解決の手法は、製造業で発展してきたものです。
この問題の捉え方は、別にシステム開発だとか製造業だとかは業種に依存するものではありません。
業種によらず、あなたが10人の部下を持つとある会社のマネージャーだとします。
最近、部下が休みがちで困っているとします。
問題:10人中5人もの部下が頻繁に会社を休むこと
あるべき姿:休む5人の部下が出社して働く状態になること
ではありませんよ。これこそ単なる状況、現状でしかありません。
これが問題でそれを解決するだけなら、3人の部下全員を強制的に出社させてもいいわけで(出社しないならクビにするとか-現実にはできないでしょうか)何の解決にもならないし、そんなことをしたら、おそらく皆が辞めてしまいます。
多くの一般企業では、その経営理念に、「お客様への貢献、社会への貢献、社員を楽しく働ける」等というのがはいっています。
自分の会社でも自分なりの色をつけながらいれているのですが、マネージャともなれば、自分の組織でこの理念を果たしていくのが役割になります。
一例は、
問題:休む社員が多く、お客様への仕事が遅れ迷惑をかけている、部下が楽しく働ける環境になっていない
あるべき姿:部下が楽しく働けて、お客様にも迷惑をかけない状況になっている
もちろん一時的にインフルエンザなどがはやって5人が休んでいるとか、状況によって上記とは違いますが、基本的な考え方はお伝えできたでしょうか。
社員の意識調査アンケートの結果が悪かったときに、上司がパワハラをしてアンケートの結果をよくするとか、アンケートの結果を修正してしまうとか、知り合いからそんな会社もあるんだよという話を聞いたことがあります。
その人にとっての問題はおそらく、「アンケート結果が悪いと自分の評価が下がる」だったのでしょう。
アンケート結果を分析して、本当の問題に手をあてていかなければ、組織はよくなっていきません。
問題意識をどこに置くかというのは、人、組織、会社の成長には大切なことなのです。
さらなる発展・成長のための視点
問題を見つけだすのは、自分の立場、役割でということを先に書きました。
もっと言ってしまえば、より高い立場で問題を定義してそれが解決できれば、次の目標も見えてくるし、自分の成長にもつながります。サラリーマンが会社として捉えれば、会社の発展・成長にもつながるということです。
立場を考えるってどういうことでしょうか、車を作るということを例にしてみます。
ある工場の工員の方、エンジンがながれてくるラインで毎日ネジ締めをしているとします。
「僕は、毎日ネジをしめているのが仕事です」
「僕は、車を作るのが仕事です」
ここまでが、一般的なとらえかたかもしれませんが、更に先も考えらると。
「僕は、人々に移動手段をあたえています」
「僕は、人が旅行いったり、買い物にいったりを楽にできるようにしてあげている」
「僕は、車を通して人が幸せになり、社会が発展することに貢献している」
どういう捉え方だってできるわけです。
ネジを締めるということでも、そのひとつひとつは社会貢献しているわけです。
ここまでの考え方ができれば、いまの仕事はずっと広がっていくのでしょうね。
自分はまだまだだし、これからもずっと修行です。
問題解決について
これまでの自分の経験をもとに、各種問題解決に対するコンサル、ご支援、問題解決を会社に定着させるお手伝いなどを実施しております。
もしお困りの時、興味がわいた時には一度ご相談ください。下記にリンクも貼っておきます。