プロジェクトの進捗報告の書き方についてお伝えします。
数々のプロジェクトを担当して、自分でも進捗報告は数限りなくしてきたし、何度も報告もしてもらいました。
「これやりました、あれやりました」
いや、やったことを伝えてもらっても、ということが何度もありました。
今回は、報告のやり方についてです。考え方としては、プロジェクトに限らず通常の仕事の報告でも使えると思います
。
プロジェクトの進捗報告の書き方
進捗報告では何を報告すればよいでしょうか?
自分のやったこと、ではありません。
プロジェクトマネージャは、さらにはプロジェクトを依頼しているお客様も、気にしているのは開発のプロジェクトが予定の納期に使える品質で立ち上がるかどうか、なのです。
つまり、あれをやりました、これをやりました、を聞きたいわけではなくて、プロジェクトの最終ゴールを見据えて、現在のプロジェクトがどのような状態にあるのか、を知りたいのです。
計画通りなのか、遅れていないのか。
遅れているとしたら対策はあるのか。
何か今後プロジェクトを進めるにあたって障害になるような課題はないのか。
課題があるとしたら、その課題に対して、自分たちができることはないのか、またはやってほしいことはないのか。
プロジェクトは、現場で作業をしている人たちは、頑張っているのですが、加えてリーダーやマネージャー、お客様も含めて全員が一丸となって実施するものです。
ちゃんとしたリーダー、マネージャー、そしてお客様も、それぞれの役割に応じて、自分のプロジェクトという意識でプロジェクトにかかわっていると思います。
「実際は自分たちがやっていて、上は何もやっていない!」そんな風な言葉を耳にしたことが何度かあります。
実際に僕が若かりし頃、思いあがってそう考えていたこともありました。
もしそうだとしたら、その人がうまく報告をできていない。もっといえば、上手に上位をまきこんでプロジェクトを進めることができていない、のです。
”プロジェクトを円滑にすすめるために、上を使う!”
そのためにも、進捗報告は、プロジェクトを成功させるための意志を込めて、しっかりと実施すべきだと考えています。
プロジェクトの進捗報告書フォーマット
プロジェクト進捗報告書(週間)のテンプレートイメージを示しました。
記載内容は、下記になります。
・プロジェクト名
・報告期間
・スケジュール
・進捗状況
・課題と対策
・ご相談事項
プロジェクト名
プロジェクト名を記載します。
ここは、進捗報告書を書いている立場によって、変わってきます。
大規模プロジェクトで、一部のブロック(チーム)のリーダーをやっている立場であれば、プロジェクト名(ブロック名)とか、複数会社で推進しているプロジェクトで、会社代表の報告あれば、プロジェクト名(担当範囲:会社名)とかになります。
ようするに、この進捗報告の示す範囲を明示することが大切です。
報告期間
報告期間を記載します。
これも、進捗報告の範囲を示すという意味で重要です。
ここで注意すべきは、報告範囲に見込みがはいっているケースです。
例えば、4/13-17 (月曜から金曜)の報告書で、金曜日の昼から報告の場があるなどという場合もあると思います。
また、大規模プロジェクトの場合は、例え報告が翌週月曜だったとしても、各チームからの報告は木曜日を締め日にしているケースなども考えられます。
そのような場合には、作成日という項目を別にもうけて明示しておいた方がいいでしょう。
スケジュール
大日程か、プロジェクトの規模により中日程程度のスケジュールを記載すると一目で進捗状況の把握が可能になります。
個人の報告範囲であれば、日単位のWBSでの報告がいいし、報告書として1枚に一体化するのが二度手間になるのであれば別紙に
しても問題ありません。
また、スケジュール以外でもこの項目は、各成果物などの指標のグラフ(計画と実績グラフ)とか、テストフェーズになったら、障害の発生件数と消化状況に変更してもいいと思います。
ようするにこの欄は、プロジェクト状況をイメージで視える化している箇所になります。
言葉だけでは伝えきれない部分を自分が担当したプロジェクトでは、このような形で表現して報告していました。
進捗状況
進捗状況は、総括と個別に分けて記載していました。
会社代表、A、Bの2ブロックを担当、製作フェーズの中盤という例で書いてみます。
【総括】▲2日遅れ(実績: 220機能 /予定: 222機能/ 総数: 444:▲2P)
Bブロックで2日遅れ、リカバリ目途が立ち後続に影響はない見込み。
他ブロックは遅れなし。
総括としては、数行でわかるように伝達するのがポイントになります。
【個別状況】
・Aブロック:実/計/総: 111/111/222 計画通り
先週1日遅れだった難易度高のX機能が完了し遅延解消。問題なし。
・Bブロック:実/計/総: 109/111/222 ▲2(2日遅れ)
原因:X製品の通信不具合の調査対応で開発遅延
状況:4/10に解消済。4/17までにリカバリー予定
影響:後続工程が4/23からであり影響なし
総括は、プロジェクト(自分の担当範囲)を総括しての状況を報告相手に伝えます。
個別は、個別ブロックの状況の報告です。プロジェクトマネージャーであれば、プロジェクトの状況を自身がどう判断しているかをしっかりと報告します。
報告相手によっては、実施内容についてもっと知りたいという場合もありますので、相手によって記載内容は変更が必要ですが、プロジェクトに対して、
「報告者がどう判断しているか」
ということをしっかり伝える、ことが重要です。
課題と対策
プロジェクに対して、
問題とは、「プロジェクトを進めるのに影響が発生しており、解決しないとプロジェクトが停滞するもの」
課題とは、「プロジェクトを進めるにあたって解決しておく必要があり、解決しないと問題になるもの」
と定義しておきます。
例えば、2か月後の開発開始までに開発するための環境をつくって開発者が使えるようにする必要があるとします。
これは解決すべき課題で、実際に開発がはじまっているのに開発環境が準備できていないとしたら、問題です。
課題や問題は一覧で管理して担当者と期限を決めて管理していく必要があります。
プロジェクトを進めていくとこのような課題はたくさん出てきますが、それをすべてここの欄に記載するかというとそうではなくて、記載するとしたら、プロジェクトを左右するような大きな問題、報告者相手に直接関係があるような課題を記載して報告をするのが基本です。
常に誰が報告相手かを意識して、相手にたいして意識しておいて欲しいことを課題として伝えることが重要になります。
ただし、問題・課題はプロジェクト内で共有しておくのが円滑なプロジェクト運営のポイントになりますので、必要に応じて課題共有の場はつくってコントロールしてください。
ご相談事項
ここは、ひとことで言えば、「報告相手にお願いしてやってもらうこと」を書きます。
お客様だったら、要件をいついつまで提示してください(そうじゃないと遅れるよ)とか、
プロジェクトマネージャーに対してなら、「●●の技術者がいなくて問題解決ができないので、技術サポートをつけて」とか、
プロジェクトはみんなでやっているものですので、報告相手にも対応してもらうようにお願いする欄になります。
プロジェクトの進捗状況報告は、決してムダではありません。
状況を正確に報告することにより、健全なプロジェクトであれば、報告者の判断内容も踏まえて、報告を受けた側も必要に応じた対応をしてくれるはずです。
健全なプロジェクト運営ができるように、プロジェクトの組織づくりと、お客様との関係が築けるといいですよね。
進捗報告は、その第一歩になります。
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