問題解決は、別に経営課題だとか仕事の効率化だけにつかわれるものではありません。
トヨタでは、あらゆる業務を問題解決で実施することを指導されてきましたが、普段の生活でこうしたいと考えていることがあったら、それも問題解決で解決できるはずです。
ということで、今回は、ダイエットをトヨタ式の問題解決手法でやるとこうなる、というのをやってみます。
ダイエットをトヨタ式の問題解決でやってみる
問題解決の手順をおさらいします
問題発見:解決すべき問題を発見しテーマを選定
現状把握:現状の問題を複数視点で分析し重大な問題を特定
目標設定:具体的な数字で達成目標を設定
真因分析:問題の真因を追及
対策立案:真因を解決するための対策を立案し実施対象を決定
対策実施:対策を個人、チーム、周囲を巻き込む等して実施
結果評価:目標達成度合いの評価
定着展開:残課題への対応、内容の標準化および他への展開
この8ステップをダイエットに適用するというのをやってみます。
前提:
30歳のOL、2年前から付き合っている彼がいて「最近太った?」って言われた。体重が増えたのはあまり良くは思ってなさそうだ。
4か月後の自分の誕生日にはプロポーズがあるかなと考えていたし、もう30歳なのでここは彼のここをを引き留めておく必要がある。
というべたな前提ですが、これで問題解決だったら、こうなるかなということで問題解決の手順を追ってみます。
1)問題発見
最近体重が増えてきた。飲み会とかに行っては結構食べてるし、特に最近になって身体も急に重くなった気もする。
彼からも「太った?」とか嫌そうに言われたし、体調も悪い気もする。
体重計にのってみると、半年前よりも6キロも増えてる。ここはダイエットしよう。
彼から嫌われる可能性があるのと、体調が悪くなったのは問題だ。
問題:
体重が増えたことで、彼から嫌われプロポーズがなくなる可能性があること。
あるべき姿は、痩せて健康できれいになり、4か月後の誕生日に彼からプロポーズがあること。
あくまでも上記は一例ですが、体重が増えた(6キロ)それが問題で、6キロ減らす、という現状だけに視点をおくのではなく、よりつきつめて本来は何が問題点なのかと考え、その問題を問題としてとらえることが問題発見のポイントです。
ここでは、彼氏との恋愛面に問題を設定しています。
2)現状把握
現状分析は、現状や問題点を細かく分けていって、どこに問題があるか問題個所を絞り込みます。
僕は、「なぜなぜ分析」になぞらえて、トヨタで一般的にいわれているかはわかりませんが、「どこどこ分析」と言ってました。
障害件数なんかだと、その障害の発生個所、発生タイミングなどで分類します。
美しさが減った、体重が増えた場合に同じように考えるのであれば、例えばですが。
【どこに問題があるか問題を特定します】
・全体の把握
まずは、体重を分析します。
理想体重は、半年前の50キロ。その体重よりも、現在は6キロ重い。
・部分を分析
きれいじゃなくなっている?というものを、いろいろな側面から、現状を把握します。
体重が増えた→どこが肉づきがよくなったか鏡で調べてみる→おなか(三段ばら)、顔(二重顎になってる)
・別の視点で分析
あるべき姿を彼からのプロポーズととらえたのだから、彼からも聞いてみます。
「やっぱりわたし太った?」
「多少ね、ひとまわりおおきくなって、顔もちょっと丸くなったかな、やせた方がいいかも」
・プロセス・過程の分析
体重がどう増えたかも振り返ってみます。
7か月前:(9月)50.0キロ(+0)
6か月前:(10月)50.0キロ(+0)
5か月前:(11月)50.5キロ(+0.5)
4か月前:(12月)52.0キロ(+1.5)
3か月前:( 1月)53.5キロ(+1.5)
2か月前:( 2月)54.4キロ(+0.9)
1か月前:( 3月)55.1キロ(+0.7)
現在 : ( 4月)56.0キロ(+0.9)
半年前の11月から徐々に体重が増え始め、12月、1月がピークだが、その後も体重増加は止まっていない状況のようです。
11月から1月は、忘年会・新年会で宴会にかなり誘われて参加していた。
さらにここからわかるのは、9月10月は体重が増えていないのに、11月から体重が増えてきています。
※9月以前も特に太ったということは言われていない。
このタイミングで生活の変化をみると、フィットネスジム通いをやめたことがある。
さらに、一週間で体重をみてみます(深堀り)。
月 0
火 0
水 -0.1
木 +0.2
金 ―0.1
土 0
日 +0.2
水曜と日曜に体重が増えている(宴会に出席)
参考までに、宴会時の摂取カロリーを計算、約3500キロカロリーだった。
・さらに健康面にも焦点をあててみます(複数の視点で検討)。
体調が悪そうな気もするので血液検査をしたところ、肝臓の数値が多少悪くなっていた。
ガンマGTPが成人女性の上限値より多少上になっていた(33:上限32、いままでは25前後)
お酒を飲むと(そこまで大量に飲んだわけでもない)体調が悪くなるので病院で検査してみた。
アルコールに対して、弱いがアレルギー反応があることが判明した。
以上のことから、現状が見えてきました。
【現状の問題点(現状把握で判明したこと)】
■外食(飲み会)にいくと、体重が増加。継続して体重が増加し続けている。
・標準体重より6キロ増
・二重あご、三段腹でかわいらしさ激減中
・フィットネスジム通いもやめた
■肝臓のガンマGTPの数値が適正範囲を超過
・アルコールに弱いアレルギー反応あり
ダイエットということで、多少強引かつこんなことしなくてもわかりきったことというものも含めて、例として現状把握にもりこんでみました。
トヨタの問題解決では、このようにどこが問題になっているか、現状のプロセスのどこに問題があるか(今回は、日常生活というプロセスのどこで体重が増えるという問題が発生しているか)を特定する、ということをやります。
3)目標設定
現状把握・分析が終わったら、その問題があるところを解消するための目標を設定します。
この時は、あるべき姿ではどうなっているかを考えます。
6か月前には、特に問題になっていなかったし二重あごでも三段ばらでもなかったこと、および自分の誕生日(問題なければ、プロポーズしてくれそう)を考慮して、目標を立案します。
【目標設定】
■三か月後までに、体重を標準体重の50キロまで健康的に落とす(▲6キロ)
・三段ばらと二重あごを解消する
■ガンマGTPの値を成人女性の正常値(32未満)にする(▲1以上)
以上の結果として、4か月後の誕生日に、彼からプロポーズを受ける。
誕生日は4か月後だけれど、誕生日よりも余裕をもって前にかわっておく必要もあり1カ月前の三か月後に目標を設定しております。
トヨタ式の問題解決について
トヨタ式の問題解決手法は、このように現状をいかに分析、把握するかにしっかりと時間をかけていきます。
太った→痩せたい
ということで、太っただけを問題とし、とりあえずいろいろあるダイエット法のどれか(または複数)手を出すということではなく、現状をしっかりと分析して、どの問題・課題を解決するかのしっかりとした目標を立案することが重要になります。
実際のトヨタの現場では、問題解決は、A3の紙を書いて行うこともありますが、その際にはこの現状把握/目標立案までを、「A3の右側」と言って、右側までをしっかりと書いて上司にレビューして指導を受けるというのが、行われています。
今回のテーマは記事が長くなりますので、2回に分けて書きます。
次回分はこちらからお願いします。
ダイエットへの挑戦(2)【トヨタ式問題解決手法でダイエット】
問題解決について
今回のような問題解決技法を、あなたの問題、あなたの会社の問題に適用してみませんか。
これまでの自分の経験をもとに、各種問題解決に対するコンサル、ご支援、問題解決を会社に定着させるお手伝いなどを実施しております。
もしお困りの時、興味がわいた時には一度ご相談ください。下記にリンクも貼っておきます。